カイコ図鑑

昨夜、「大研究 カイコ図鑑」(国土社)が、監修者の横山 岳先生から
送られてきたことを書きました。

今日も、机の横に置いて、時間があればめくって見ています。
ほんとに、良くできています。

たったいま、メールをチェックすると、昨夜遅く送信したお礼メールに
返信がありました。

ブログを書くのに力尽きて、お礼メールは失礼ながらわずか数行しか
書いていませんが、横山先生からの返信メールはじつにていねいに
書かれていました。

こんなときって、恐縮しますよね。

さて、そのメールで述べられていたことの中に、わたしも日頃から
感じていたことがありましたので、ご紹介しておきましょう。

先生の許可をいただく時間がないのですが、きっと了解してくださると
おもい、一部引用させていただきます。


 「昔はこういう綺麗な写真、イラスト満載の本はありませんでした。
 教科書にしろ、専門書にしろ、字ばかりの本で育ってきました。」


そうですねえ。横山先生より私が少し年上ですので、いっそうその感が
ありますねえ。

 「現在、教科書という教科書、専門書という専門書があまりにも分かり易く
 書いてあるものばかりです。
 カイコ図鑑も当然、そう作りました。
 自分で作っておいて、何ですが、
 あまりにも分かり易い本ばかりで子供達が育ってきて大丈夫なのだろうか?
 と思います。」


それそれ。
おっしゃるとおりです。
わたしは、自分の子どもが小学校に上がったとき、たまげました。
なんというカラフルな教科書なのかと。
字より絵が多いじゃないかと。
また、その写真が鮮明で、図もわかりやすく、至れり尽くせりの感がありました。

その後、仕事上、国内で使われている小・中学校の理科の教科書すべてを
じっくり見る機会があり、その感をいっそう強くしました。
そして、おもったのは、
「これじゃあ、文章の読み書きが苦手になるなあ。」ということ。


横山先生のお言葉を借りると、

 「というのも、研究室で教えている学生のほとんどは、論文を読んで、自分で
 実験をセットアップできません。
 実験の分かり易いマニュアルがないと実験できません。
 カイコ図鑑のような実験マニュアルを作ってあげないと実験できない学生が多いのが現状です。
 私達の世代は教授に論文を渡されて、「これを読んでやっておけ」という指示だけでした。
 当然、その論文に書いてない事まで調べて、自分にあった実験を組み立てていくのが当たり前でした。
 そんな事を今したら、「指導力がない」「指導放棄だ」と吊るし上げをくうでしょう。」


そうそう。
文字をひろって、自分で図を書いたり頭に描いたりしていましたねえ。
とりわけ、分類学では、「第二顎脚の内縁のトゲ」がどうのこうのとか、
「淡黄緑色ないし淡黄褐色」をイメージしたり、「サスマタ状の、、、」ってなんだよ、
などとぶつぶつ言いながら力をつけていきました。


横山先生は、

 「分かり易く、」で良いのかなぁと思いますが、でも、もう、「分かり易く」の流れで
 日本の教育は流れていくのでしょう。
 編集者さんともこんな話をよくしました。

と結んでおられます。
遠慮がちに。

わたしは、少し深刻にとらえています。

まず、多くの子どもたちが文章が書けないということ。
おしゃべりはじょうずです。けれどもおもったことが文章に書けませんし、
書いても、意味が通じません。

多くの保護者は文書を届けても、すべてをきちんとは読みません。
学校に勤務しているときに痛烈にそれを感じました。
知人の小学校の先生は、保護者用の書類にも、大事なところは文字を太く
したりアンダーラインを入れたりするそうです。

便利さや安易さに慣れたら、そうでなかったころにもっていた貴重な力を
おしげもなく捨ててしまうことになるということを自覚すべきでしょうね。

それが、コピペのあふれた社会を作っているのだとおもいます。

時には、じっくり読んだり、正しく書いたりすることを、積極的に教育現場に
入れないと、大変なことになるとかんじています。

いま、うちに出入りする子どもたちは、科学研究をまとめることで、
その力を培おうとしていまう。


「ふー。先生、今日は、脳みそが汗かいた。」ってのは、本音でしょうね。


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この記事へのコメント

k : 2014/07/24 (木) 10:58:40

毎日拝読しておりますが、今日の記事にはコメントしたくなりました。
私もあまりにも詳細な図鑑・手引き書の類いには、複雑な思いをもっています。
こんなものがあって、今のこども達はいいなあ、といううらやましい気持ちと、
こんなことまでわかっちゃっていいんだろうか?という気持ちと。

こども達は、本やネットで見て、読んで、「知っている」気になってしまっていますね。
確かに、それで十分な情報もあるのだとは思います。
が、実際に生き物を追ってみると、書いてないけど面白いことがいっぱい。
書いてあることを否定する現実が目の前にあることも度々。

今のこども達は忙しいですから、情報をさっとなめて終わり、というのもわからなくもないですが、
やはり「ここは!!」というところだけでも、
自分で見て触って確かめて、体も脳も汗をかいて伝える努力を経験して貰いたいですね。
それができないと、新しいことを発見するとか発想するとか、難しいのではないかと思います。
わが子たちにも、そういう機会をできるだけ与えてやりたいと思っています。

カイコ図鑑、手に取ってみようと思います。
楽しみです。

スクーティスト : 2014/07/24 (木) 22:05:43

コメントありがとうございます。
また、毎日読んでいただいてるとのこと、重ねてお礼申し上げます。

おっしゃるように、子どもたちは恵まれています。
いえいえ、わたしたちも昔に比べて恵まれてきています。

わかりにくいより、わかりやすいほうがいいに決まっていますが、
わかりやすければ深く入るかといえば、そうとも限りません。

便利さや簡便さに慣れると、いつしかそれを忘れます。
表面的になっちゃいますね。

それでいい場合と、そうでない場合があることを自覚
できるかどうかでしょうかねえ。

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