中学生の科学研究から (微生物の研究) その3

昨日、一昨日の続きです。

女子中学生二人の実験です。

ゾウリムシとフロントニアをガラス管の中に同居させた場合、
ゾウリムシが順調に増えたのに対し、フロントニアはまったく増えませんでした。
次にゾウリムシを入れないでフロントニアを1匹だけ入れて飼育した場合、
これもまったく増えませんでした。
ゾウリムシの影響ではないようです。

そこで彼女らはふたつの仮説を設定しました。

1 フロントニアの増え方がもともと遅く、その間にエサのキロモナスが
ガラス館内に増えすぎて酸素欠乏になったのではないか。

2 そもそもフロントニアは1匹で増えることはなく、有性生殖で増えるのでは
ないか。

これを調べる方法をいろいろ議論したようですが、研究者ならともかく、
塾にも行き、クラブ活動や委員会活動もし、中間試験、期末試験もあり、
学校行事もこなさねばなりません。
結局現実的な方法として、

1 ガラス管でなくシャーレで飼育する。

2 1匹でなく5匹からスタートする。

3 異なるエサで飼育する。
 エサは、次のものを用意し、シャーレ2個ずつに添加しました。
 ①②無添加
 ③④クロレラ+ミドリムシ
 ⑤⑥ミカヅキモ(藻類をたべると聞いたので)
 ⑦⑧クロロゴニウム(繊毛虫などの万能のエサ)
 ⑨⑩キロモナス(これもよく用いられる万能のエサ)
 ⑪⑫アメーバ(ストックがあったので)

こうして、合計12のシャーレを18日間にわたって毎日放課後、学校の
実験室の片隅を借りてカウントしました。これでも精一杯ですね。

結果は次のようになりました。


フロントニア集計


絶滅が相次いでいたので、「おお増えた増えた」と、増えたことに一同、
ホッとしたようです。

しかし、よく見ると⑤⑥⑦が絶えました。

ミカヅキモを与えたのが絶えたのは、おそらく大きすぎて食べられなかった
からだと考えました。体長の倍以上ありますし、いかにも硬そうな殻に
おおわれています。両端はとがっているし。
藻類を食べるとはいえ、これはやはり無理でした。

ところが、クロロゴニウムを与えたシャーレでも絶滅しました。
これは、繊毛虫にはほぼ最適なエサのはずで、口に合わないはずがありません。
案の定、もうひとつのシャーレでは5日目に100匹以上に増え、これがダントツで
トップです。

どうやら、エサと空間をしっかり与えても、増えることができないシャーレが
あったのは、何か他の要因があるようです。

彼女らは、仮説2について次のように考えました。
少し長いのですが、引用しておきます。

ゾウリムシなどの繊毛虫の多くの種では、老化してくると2個体が接合して
小核を交換し、その結果若返ってふたたび分裂を繰り返すことができることが
知られています。また、その接合する相手はどの個体でもいいわけではなく、
接合に適するタイプが決まっていて、ゾウリムシParamecium caudatum では、
16のタイプ(同質遺伝子個体群)が知られています。その他の繊毛虫のことは
文献を調べても載っていませんでしたので、フロントニアがいったい何種類の
接合型をもっているのかわかりませんが、キャピラリーに入れた5匹がたまたま
接合できないもの同士であれば若返りができずに死滅した可能性があります。
それに、接合を誘導するにはかなり人工的にはやっかいであることもゾウリムシ
では知られており、①互いに相補的な接合の2株であること、②それぞれの株が
性的に成熟期にあること、③数日間さかんに分裂・増殖をしたあと、飢餓状態で
あることなどをすべて満たす必要があるとされています。(丸岡、2005)
こういったことを考えると、ミカヅキモで増殖できなかったのはたんなるエサ不足と
考えられますが、クロロゴニウムという最適なエサがありながら増えなかったのは、
たまたまこの5匹が接合できない個体どうしであったか、あるいは接合はできる
タイプでありながら、上に述べた接合のための条件のうち、②や③が満たされて
いなかったからだと考えることもできます。


自分たちが手に染めた実験ですから、それはそれは一生懸命に
考えます。
中学2年生であっても、少しヒントや文献を与えると、それをもとに
二人で議論し、ここまで考えを深めることができることにびっくりします。

頭の柔軟な若い時に、こんな経験をどんどんしてほしいとおもいます。


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