中学生の音速の科学研究がすごい 1

8月の上旬に少しだけこのブログの記事で紹介したことがありますが、
その当時はまだまとまっていませんでしたので、「詳細は後ほど」なんて
書いて保留にしていました。

なんとか夏休み中にまとまり、作品として学校に提出できたようで、
学校推薦もいただいたようです。
また、広島大学理学部主催の「平成27年度中学生・高校生
シンポジウム」にも口頭発表できるということになりましたので、
何回かに分けて、やや詳細にお伝えすることにします。

この作品は、現在、科学研究のコンクールの入り口の段階で審査中です。
どの科学研究コンクールでも、「応募作品は未発表のもの」という制約が
あるのが常識ですので、作品そのものをここに載せるわけには
いきいません。
ただし、ブログでの紹介や口頭発表程度はOKとのことですので、
記事として紹介しておきたいとおもいます。


この作品のタイトルは、「108円のモデルガンで音速測定」です。
サブタイトルは「飛行弾を音スイッチでストロボ撮影して」となっています。
中3の女子が1人、中2の女子が2人そして中2の男子が1人の共同
研究となっています。
この中3の子が長年科学研究に取り組んでおり、いわばベテラン級。
中2の女子は新人ですが、興味・関心は高く、よく理解しています。
中2の男子は、この研究の発端となった科学写真に取り組んでおり、
彼の写真技術と理論がものを言いました。
いいチームだとおもいます。


さて、研究ですが、実にすごい作品が完成しました。
科学研究のお手本ともいえるべきもので、決して難しいことを
やったわけではなく、次々と課題が生じたとき、みんなで協議して
解決し、ついには完ぺきな数字を得るにいたったものです。

ただし、テーマが「音速の測定」というあまりにも古典的なもの
だけに、作品をさっと斜めに見ただけでは、「ピストルを使って
音速を測定したんだな。同じように中学校の教科書にもピストルの音と
煙のズレをストップウォッチで測る実験があったなあ。」
などというとんでもない誤解を生じかねません。
よもや、そのような誤解がコンクールの審査の過程で生じないことを
切に願っています。


どこがすごいかというと、なかなか一言では言い尽くせませんので、
少し長くなりますが、お伝えしたいとおもいます。


1 新しい方法であること。
音速を求める実験はこれまでいろいろな方法で行われていますが、
おそらくそのどれでもない新しいオリジナルな方法です。(すべてを
調べつくしたわけではないので、「おそらく」としておきます。)

2 簡便な方法であること。
ストップウォッチを持ってグランドなどに出ることもなく、花火を
録画して再生して音の遅れを測るような面倒なことも不要で、
教室か、せいぜい学校やマンションの廊下に出てあっという間に
データがとれます。しかも楽しいし。

3 安価な方法であること。
パソコンや専用の機器など高価なものは不要であり、カメラ
(コンパクトデジカメでも機種によっては可)とストロボを借りることさえ
できれば、それ以外には、音センサーが1,700円程度、速度計が
3,000円程度、そして実験に用いる主役はなんと108円のモデルガン
1丁です。

4 考え方がシンプルであること。
気柱共鳴やドップラー効果など中学生が習っていないことは
使わず(使えず)、単純に、(距離)÷(速さ)=(時間)を知っていれば
わかる内容なのです。

5 柔軟な思考力のたまものであること。
水風船の破裂の瞬間を撮っていた写真チームの作品を見たり、
その撮影現場に立ち会ったりしたことがきっかけ。
風船から音センサーが遠ざかるとダーツの矢もより進んだ位置で
写し止められていたという小さな事実を見逃さず、大きなヒントと
したのです。
その小さなきっかけから、「この装置を使えば音速がわかるのではないか。」
という着想に至ったのは、まさに脱帽です。

6 実験の道具であるモデルガンを探し当てたこと。
水風船とダーツの矢で試みてダメだと気付き、すぐに別の方法を
考えました。
その条件は、
 音が出る。
 飛ぶか走るか転がるかして移動する。
 そのスピードが測定できる。
 その移動中にストロボ撮影できる。
 写真に撮って正確に移動距離を測定できる。などです。

ホームセンター、大きな100円ショップ、オモチャショップ、もちろん
東急ハンズへも行って1ヶ月半探し回りました。ついに見つけた場所は
教室から最も近い小さな100円ショップであり、道具はおもちゃのモデルガン
だったのです。
これがなかったら、この作品は生まれませんでした。

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7 実験値の精度を計算で上げたこと。
最初の実験データを整理したとこと、理論値から大きくはずれた値が
出ました。ここであきらめずに距離を長く取ることにしました。
これが普通の考え方。
それに加えて、使用した機器の働きを一から見直し、タイムラグを
計算で排除する方法を考え出しました。
これが今回の研究の最大の見せ場です。
いやー、あっぱれです。

8 誤差0.25% で理論値に迫ったこと。
いくら手法が簡便であっても、結果がどうかが問われます。
中学校の教科書にある徒競走のピストルの音と発煙の時差を
測定しても、花火の音と光のズレを測定しても、人がストップウォッチを
押すわけですから大きな誤差が生じます。
ところが、この方法は、ストロボが弾を写し止めてくれて、その距離を
物差しで測るわけですから、人による誤差はありません。
当日の気温での音速の理論値は、348.6m/s であり、彼女らの
実験値は349.47mm/s でした。

もう、すごいとしかいいようがありません。

明日から、この研究の内容をやや詳細にお伝えします。



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